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直角出し

機械加工や据付において、高い精度を実現するために欠かせない「直角出し」。ここで、直角度の定義やシムを用いた調整方法など、基礎から実践までの情報を見ていきましょう。

直角出しとは

直角出しとは、機械加工や部品の組み立て、装置の据付において、基準面に対して対象となる面や線を正確な直角に合わせる作業のことです。

完全な直角を現実的に作ることは難しいため、どの程度直角に近いかを示す「直角度」を管理し、許容範囲内に収めることが求められます。

直角出しの精度が高いほど、部品同士の正確な位置合わせや組み立てが容易になり、機械の動作精度や製品の機能性、さらには測定精度までも向上します。

幾何公差としての「直角度」を理解する

直角度の定義と記号

直角度は、基準となるデータム直線またはデータム平面に対して、直角であるべき対象面の狂いの大きさを表す姿勢公差の一つです。JIS規格では「⊥」の記号を用いて図面に指示されます。

例えばデータム平面Aに対して直角度0.05と指定された場合、対象となる平面は、基準面に対して直角で0.05mm離れた2つの平行な平面の間に収まっていなければなりません。これにより、正確に機能する範囲を設定します。

直角度の測定方法

直角度の測定には、定盤と直角定規(スコヤ)を使用する簡易的な方法があります。定盤上でワークの基準面と直角定規を合わせ、測定面に軽く突き当てて生じる隙間をすきまゲージなどで測ります。

また、より精密な測定が必要な場合は、三次元測定機や光学式スコヤとレーザ真直度干渉計、オートコリメータなどが用いられます。特にレーザオートコリメータは、非接触で高精度な角度測定が手軽に行えるため重宝されています。

直角出しに使う代表的な道具・治具

スコヤ(平型スコヤ・ブロック型スコヤ)

スコヤは直角の基準となる代表的な工具です。一枚の鋼板からなる「平型スコヤ(平形直角定規)」は、定盤上での簡単な検査や内角の目視確認に用いられます。

一方、厚みのある台座が付いた「台付スコヤ(台付直角定規)」は、フライス盤などの工作機械のテーブルエッジに合わせることで、X軸に対して正確な直角基準(Y軸)を得るための治具としても活躍します

イケール・マス・Vブロック

イケールはL字型または門型の治具で、垂直面に加工物を押し当てて測定やケガキ、横穴加工時の固定に用います。材質は鋳鉄が代表的ですが、鋼材などが用いられることもあります。

マスは全ての面が直角に仕上げられた正6面体で、精度検査や精密組立に適しています。VブロックはV字の溝を持つ治具であり、2個1組で使用することで円筒形部品の固定や端面の中心出しなど、高度な機械加工時の直角基準として機能します。

工作機械(マシニング・フライス盤)での直角出し

マシニングセンタやフライス盤では、ワークを正確に位置決めして固定するためにマシンバイスが使用されます。工作機械の主軸とテーブルが精度の基準となるため、バイスを機械テーブルの基準T溝やピン穴を用いて、平行かつ直角に取り付ける直角出しが不可欠です。

誰でも容易に高精度な位置決めができる機能や、ワークの剛性に合わせた適切なクランプ力が求められ、浮き上がり防止機能を備えた精密マシンバイスや剛性の高いミーリングバイスが広く活用されています。

シムを使った直角出しの調整

シムで直角を出す目的とタイミング

シム(シムプレート)は、機械設備の据え付け調整や部品同士の隙間を埋める目的で使用される薄板です。

装置が組み付けられる段階で、基盤との平行度や高さをシムで微調整することで、直角出しの精度を高めます。これにより、稼働中に発生する振動や騒音、ブレを最小限に抑え、設備の長寿命化や後工程での不具合発生を未然に防ぐことができます。

直角出しに適したシムの材質と厚み

シムプレートは環境に合わせて材質を選定します。耐食性が求められる場合はステンレス(SUS304やSUS316)、コストと強度を重視する場合は鉄、通電や放熱が必要な箇所には真鍮や銅合金、高い硬度が必要なら焼き入れリボン鋼を使用します。

また、シムの加工メーカーの中にはエッチング加工などの精密加工技術により、0.004mmや0.01mmといった極薄の板厚寸法で作成できるため、微細な直角出しの公差調整に向いています。

シムを使う際の注意点

シムプレートは非常に薄いため扱いが難しく、取り付け時に曲げや歪みが発生しやすい点に注意が必要です。作業時は丁寧に取り扱うとともに、メンテナンスでの定期交換を考慮し、着脱しやすいように配慮します。

部品の間に挟み込むだけでなく、ネジ止め用の穴を設けて固定したり、両面テープで仮留めしてズレを防止したりと、状況に応じた工夫が求められます。

直角出し用シムの調達・加工依頼の方法

必要なシムを調達する際、少量ですぐに必要な場合はECサイトなどでの規格品購入が便利です。生産ラインで大量に必要な場合はメーカーや商社から調達します。

一方、規格にない特殊な形状や極薄の板厚が必要な場合は、金属加工メーカーへ特注オーダーするのが最適です。レーザー加工やエッチング加工などを駆使し、要件に合わせた柔軟な対応が期待できます。

まとめ

直角出しは、機械加工や組み立ての精度を左右する極めて重要な工程です。幾何公差である直角度の概念を正しく理解し、スコヤやイケールといった適切な測定器具・治具を用いることが求められます。

また、据付時の微細な調整にはシムプレートが活躍します。使用環境に適した材質や厚みのシムを選定し、正しい方法で調達・調整を行うことで、機械の性能を最大限に引き出し、長期的な安定稼働を実現しましょう。

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