銅と亜鉛を混ぜ合わせ、配合によって素材の色や、硬度を調整することが可能な真鍮。素材としての特徴や、シム加工の例を紹介します。
銅と亜鉛を配合して作られた合金のことで、さらに亜鉛の含有率が20%以上のものを真鍮と呼びます。配合の割合によって真鍮でも呼び方や特徴が異なり、「丹銅」「黄銅」などです。基本的な真鍮の特徴は導電性の高さや加工のしやすさなどが挙げられ、この特徴を活かし様々な製品に活用されています。
まずは真鍮の性質・特徴を具体的に紹介するので、チェックしてください。
真鍮に含まれる銅は、抗菌性能を比べた実験によると高い効果が報告されています。たとえば寒い冬に感染者数が増えるインフルエンザウイルやノロウイルスなどのウイルスも銅の製品に付着しても減少しやすいと言われるほどです。つまり銅と亜鉛を配合した真鍮にも高い抗菌作用があるとされており、人がよく触れるドアノブなどの製品に用いられることが多い理由となっています。
参照元:一般社団法人日本銅センター公式HP/銅の超抗菌性能(http://www.jcda.or.jp/feature/tabid/88/Default.aspx)
真鍮の特徴と言えば、加工のしやすさ。熱を加えることで、軟らかくなるため薄く伸ばす、細くするなど様々な形状に加工することが可能です。
真鍮は削りやすいという特徴もあり、細かな技術が求められるような加工にも向いています。たとえばドアノブをアルミ製にすればシンプルな形しか作れませんが、真鍮であれば細かな装飾を施した製品を作れます。
合金の中でも真鍮は電気の導電率が高いという特徴があります。銀も同様に導電性が高いですが、費用が高価なため、電気配線などには真鍮が用いられることが多いでしょう。
たとえば金属の中には、他の金属と触れることで侵食される性質を持ったものもあります。しかし真鍮は金属への耐食性が高く、非常に扱いやすい特徴があるでしょう。ただ硝酸や硫酸、塩酸などには侵食されやすいため要注意です。
真鍮を取り扱う際、酸化に注意しなければなりません。メッキなどで表面加工していないと、酸化し酸化銅と呼ばれる皮膜で覆われてしまうでしょう。ただ一概に酸化が悪いというわけではなく、アンティーク感も出やすくなり、あえて酸化することで魅力が増すこともあります。
真鍮を取り扱う際、注意しなければならないのが水分です。真鍮を使った製品に水が触れてしまうと錆びてしまい、緑っぽく変色することがあります。たとえば古い5円玉・10円玉が緑っぽくなっていることがありますが、これが水分や塩分などと触れて錆びてしまった証拠です。そのため真鍮に直接水分の触れないような対処が必要となります。
真鍮は加工しやすい反面、鉄などと比べると曲がりやすいという特徴もあります。そのため外力が強く加わるような箇所での使用は注意が必要です。ただ基本的に人が体重をかける程度で変形することはないため、手すりなどで使用されることも。よほどの外力が加わったとくに変形する程度と思っておいて良いでしょう。
真鍮は加工しやすい、電気の伝導率が高いなど様々な特徴を持った合金です。そのため私たちの身近な製品の材料としても用いられることが多く、非常に取り扱いやすい合金と言えます。具体的にどのような製品で活用されているのかチェックしていきましょう。
真鍮は優れた電気の伝導率を持った合金です。また真鍮自体のコストも比較的リーズナブルなので、多種多様な電気製品の部品に用いられています。たとえばコンセントやコネクターなどです。
熱を加えることで、いろいろな形状に加工できるという特徴を活かし、複雑で緻密さが求められる製品に活用されています。たとえばガスコンロのバーナーヘッドやドアノブ、アクセサリーなどです。
真鍮は精密な加工が求められる製品の材料としても活用されることが多いでしょう。たとえば時計やナット、5円玉などです。
銅と亜鉛を配合して作られる真鍮は、配合率によっていろいろな種類に分類されます。配合率を上手く調整することで、より使い勝手のいい真鍮が作られるでしょう。
銅が80~95%、亜鉛が5~20%の合金を「丹銅」と言います。ただ真鍮と呼ぶためには亜鉛が20%以上配合されていなければならないため、丹銅の中には真鍮ではないものもあるので注意しましょう。非常に銅の配合が多いため、銅の赤みが強いという特徴があります。
銅が60~70%、亜鉛が30~40%の合金を「黄銅」と言います。最もポピュラーな真鍮となり、一般的に真鍮と言えば黄銅のことを指すことも。また黄銅の中でも銅が70%、亜鉛が30%の合金を「七三黄銅」と言い、非常に伸びやすく、冷間加工性が高いため深絞り加工に最適です。そのため端子コネクターやカメラなどの製品に使われることが多いでしょう。また銅が60%、亜鉛が40%の合金を「六四黄銅」と呼び、伸び率は劣りますが、引張り力が高いという特徴があります。
銅と亜鉛だけでなく、鉛や鉄が数%程度配合されている合金を「快削黄銅」と言います。
少量のスズを黄銅に加えたものを「ネーバル真鍮」と言います。耐海水性が高まっているため、船舶の材料として用いられることもある金属です。
真鍮は古くから使われている素材であり、銅と亜鉛の配合に応じて強度は変わりますが、そこそこの強度を誇る素材です。
身近なモノでいうと、5円玉硬貨や仏具、金管楽器などに使用されている素材で、日常的な使い方なら破損の危険性は少ない金属です。
真鍮も基本的には耐食性の高い素材ですが、水分や空気中のガスの影響により表面が黒ずんだり、手の汗や油分により緑色の錆が発生する場合が。錆が進行すると次第に色合いが濃くなり、輝きが失われていきます。
真鍮は鉄などの汎用的な素材と比較すると高価だと言えます。
しっかりと手入れをすれば美しい輝きを保つことができるため、アクセサリーなどにも使用されている素材です。
飯島精機の丸シム・スペーサーは、真鍮製も取り扱っています。
動力伝動装置用の特注シムであり、プレス加工で打ち抜いて製作。
高い精度が必要となる、精密プレス品の納入実績も多くあります。
岩田製作所では、真鍮製のシムリングを製作・販売。
リング状、C型、ベアリング用、フランジ用、キー逃し溝など、0.01mm~6.0mmの板厚まで対応しています。
こだま製作所では真鍮製の微細接点を製造。指先サイズの真鍮接点で、先端に半球状の突起を付けています。
既存の金型を手直しして製作したため、金型費用もかからず製作できた事例です。
対応できる素材数で選んだシム加工業者
おすすめ3選
●極限までバリを抑えた「バリレス精密プレス」で高精度のシム加工品を製造。多様な素材・多品種少量のニーズにも柔軟に対応ができる。
●試作開発において工程能力を測定し、量産時の精度やコストに適した設計を提案。効率的で高品質な量産体制を実現できる。
●材料入手からプレス~検査までを自社で一貫して行い、精密部品の加工製造を実施。
●洗浄・研磨・乾燥を1工程で行い、コスト削減と効率化を実現。厚さ6ミクロン単位で特殊用途シムの製作にも対応できる。
●常時在庫を持ち、スタンダードなシム加工品であれば1個から当日発送が可能。
●FA部品メーカーとしての技術を活かし、産業機械や光学機械のほか、航空・宇宙産業にも納入実績がある。
※2021年4月15日時点でGoogleにて「シム加工」と検索した際に表示される上位25社のうち、公式サイトに品質マネジメントシステムに関する国際規格であるISO9001取得と対応ロット(個数)の記載がある3社を厳選し、加工できる素材が多い順に会社を紹介しています。