丈夫で安価、熱処理で幅広い性質に変化させることができる素材である鉄。素材としての特徴や、シム加工の例を紹介します。
焼きなましを施すことにより柔らかくなり、焼き入れを施すことにより強度が増すなど、熱処理によって機械的性質が幅広く変化。
素材として使用される鉄は、強度が強く丈夫な特徴があります。
鉄の耐食性は純度によっても異なりますが、広く一般的に使われるような鉄は空気中の酸素や水分の影響で酸化鉄に変質します。
錆びた鉄の近くにステンレスなど異なる金属を近づけてしまうと、「もらい錆び」をする可能性があるので注意しましょう。
鉄は世の中のさまざまなモノに使用されている素材で、工業系などの業界でも多く使われています。
比較的安価に手に入れることができますが、錆びやすい特徴を持っているため、塗装やメッキなどの加工が必要になりコストがかかる場合も。
飯島精機では、文字が浮き出る金属板加工も行っています。
2つのブランク材を使用し、高精度なワイヤーカット技術を活かしたさまざまな製品を製作しています。
岩田製作所ではシムボックスも製作・販売しています。
シムボックスはロール状に巻き取られたシム製品で、必要な量だけ取り出して使用可能です。
佐藤製作所では、円形や特殊な形状などさまざまな形状のシム・スペーサーを製作。
標準装備として板厚などの寸法が印字されているシム製品のため、計測の手間や取り違えるなどのエラーを防ぐことが可能です。
人類の歴史は、石器時代・青銅器時代、そして鉄器時代に区分されています。鉄は古くから人類が親しんできた金属で、黒い色していることから「黒鉄」とも呼ばれてきました。人類にとって鉄が身近な鉱物で、一説によると地球の重量の3分の1が鉄と言われるほど身近な物質です。
ただし、一般的に「鉄」と言われている金属は、実際のところ「鋼」であることがほとんどです。炭素が1.7%以下含まれている鉄は鋼と呼ばれ、1.7%以上含まれていた場合には「銑鉄(せんてつ)」との名称で区別されています。
銑鉄には硬いけれどもろいという特質があります。対して、鋼は粘りがあって伸びやすいという特徴が。そのため鋼は加工しやすく、さまざまな形状に変えられて、私たちの生活の中になじんでいます。
汎用性に富む鉄ではありますが、弱点もあります。それは「錆び」。鉄の表面は錆が発生しやすく、空気に触れているだけで酸化して酸化鉄へと変化します。錆びを放置しておくと鉄の内部まで腐食してしまうため、メッキや塗装で錆びを防がなくてはなりません。
鉄はとても加工性に優れた金属です。流通している金属製品の90%が鉄であり、現在もなお生産量が伸びているほどです。
鉄は鉄鉱石と石灰石と石炭から製造されますが、その方法が比較的に容易であることも鉄の利便性を高めています。
日本の高度経済成長を支えた、なくてはならない金属としても知られ、「産業の米」と呼ばれた時代もありました。それほど、人にとっては欠かせない金属なのです。
また、加工をほどこす際には材料を選ぶことになりますが、品質・コスト・納期の面でも鉄は優れた素材です。
高温下、もしくは常温において多彩な形状に変えることができます。
炭素鋼は鉄と炭素の合金です。ただし、含まれる炭素の量は0.02%~2%まで。この炭素の含有量などにより複数の種類が存在します。
含有する炭素の量が多ければ多いほど、炭素鋼は焼入れしたあとの強度を上げることができます。
SPC(Steel Plate Cold)材は、冷間圧延鋼板です。薄い板状になっており、板金でのプレス加工・曲げ加工などに用いられています。
また、SPCは加工別にさらに種類があり、一般的な用途に使われるSPCC、絞りのしやすいSPCD、深絞りのためのSPCEなどがあります。
SS材は「Steel Structure」の意味で、構造用鋼のこと。多数の形状があり、安く、使い勝手がいいことから広く普及しています。
ただし、炭素量0.2%と少ないため焼入れには向いていません。
S-C(Steel Carbon)材は、機械構造用炭素鋼鋼材として用いられています。
S-C材もさらに複数の種類に分かれており、炭素量3%以上であれば焼入れ効果があります。
SK(Steel Kougu)材は炭素工具鋼鋼材であり、炭素鋼の中では最も高い炭素含有率を誇っています。炭素が多いことから強度があり、特に焼入れ後の耐摩耗性は炭素が多いほど強くなります。
合金鋼は鉄に、クロム・ニッケル・モリブデン・タングステン・コバルトなどを加えた合金。
炭素鋼よりも含まれる元素が多く、比較的に高額で、炭素鋼では加工に合わないときなどに用いられています。
ステンレス鋼は合金鋼では一般的に用いられており、含有されるクロムとニッケルの量で複数の種類に分かれます。
SK材(炭素工具鋼鋼材)でも強度や耐摩耗性が追いつかないような加工には、この合金工具鋼が用いられます。
クロム・タングステン・バナジウムなどを加え、強度を高めた鋼材です。
機械構造に対し、S-C材(機械構造用炭素鋼鋼材)よりもさらに強度を求める際は機械構造用合金鋼が適していいます。
炭素鋼にはできない中心部までの焼き入れが可能です。
ステンレスよりも硬く、ダイヤモンドにも次ぐという極めて硬い合金鋼で、複数の元素が結合して成り立っています。
重量は鉄の2倍、金とほぼ同じ重さです。
超硬合金は硬度が高いばかりではなく、強度や弾性にも優れているのが特徴です。
「高張力鋼(High Tensile Strength Steel)」とも呼ばれる合金鋼です。名前の通り、引張力に優れ、丈夫なのが特徴です。
また、比較的に軽い合金鋼のため、輸送する際にはコストがかからないのもメリット。
鉄は炭素鋼・合金鋼などさまざまな種類があるほか、形状も豊富です。一般的な板状のものや棒状のもののほか、角パイプ材・アングル材・チャンネル材など、構造を作りやすいもの、あらかじめ耐食性を高める処理をほどこされたものなどなど。
鉄は非常に選択肢の多い金属なので、それぞれの特徴を充分に把握し、用途に合った種類・形状を選んでください。
対応できる素材数で選んだシム加工業者
おすすめ3選
●極限までバリを抑えた「バリレス精密プレス」で高精度のシム加工品を製造。
多様な素材・多品種少量のニーズにも柔軟に対応ができる
●試作開発において工程能力を測定し、量産時の精度やコストに適した設計提案。
効率的で高品質な量産体制を実現
●材料入手からプレス~検査までを自社で一貫して行い、精密部品の加工製造を実施
●洗浄・研磨・乾燥を1工程で行い、コスト削減と効率化を実現。厚さ6ミクロン単位で特殊用途シムの製作にも対応
●常時在庫を持ち、スタンダードなシム加工品は1個から当日発送が可能
●FA部品メーカーとしての技術を活かし、産業機械や光学機械のほか、航空・宇宙産業にも納入実績を持つ
※2021年4月15日時点でGoogleにて「シム加工」と検索した際に表示される上位25社のうち、公式サイトに品質マネジメントシステムに関する国際規格であるISO9001取得と対応ロット(個数)の記載がある3社を厳選し、加工できる素材が多い順に会社を紹介しています。