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シムを用いた調整作業の基本手順

工場の設備において、モーターの安定稼働には正確な芯出しが不可欠です。本記事では、芯出し精度を左右する「シム」の使い方について、基本から具体的な作業手順までを解説します。

清掃

シムを用いた芯出し作業を始める前に、まずはシャフトや設置面の徹底した清掃を行います。

シャフト表面の汚れや錆、古いグリスなどが残っていると、シムを挟んだ際に正確な位置調整ができず、芯出し精度に悪影響を与えるからです。

作業前に必ず機器の電源を切り、安全を確保します。その後、シャフトやモーターの設置面の汚れを完全に取り除きます。また、シャフトに損傷がないか目視で確認し、必要に応じて研磨や交換を行ってください。

土台となる部分を綺麗な状態に保つことが、正確な芯出しの第一歩です。

現状のズレ(隙間)を測定

清掃完了後、シムを入れる前に現状の軸のズレや隙間を正確に測定します。

現在のズレの量を正確に把握しなければ、どれくらいの厚さのシムが必要かを判断できないためです。

測定は、温度差がない状態、かつ軸が停止した状態で行います。

はじめに薄い金属板のセットであるスキミゲージ(隙間ゲージ)を用いてシャフト間の隙間を測り、おおよその位置合わせ(粗調整)を行います。

次に「ダイヤルゲージ」や「レーザーアライメント装置」を使用し、軸を手動で回転させながら、平行方向のズレ(オフセット)と角度のズレを精密に測定します。測定値は後の調整のために必ず記録してください。

正確な測定データを得ることが、適切なシム選びに繋がります。

シムの選定

測定したズレのデータに基づき、適切な厚さのシム(ライナー)を選定します。

モーターなどの設置位置を物理的に微調整し、軸のズレを規定の許容値内に収めるためです。

シムは、錆びにくく耐久性に優れたステンレス製の薄板を使用することが望ましいです。

選定時の重要なポイントは、複数の板厚のシムを用意しておき、極力少ない枚数を重ねて厚さを調整することです。枚数が増えると間に微小な隙間や汚れが入りやすくなり、精度の低下や誤差の原因となります。

必要最小限の枚数で目標の厚みになるよう、シムを組み合わせることが重要です。

挿入

選定したシムを、モーターの取り付け部(脚の下)に挿入します。

シムを挿入することで、モーター本体の高さや傾きが変化し、軸同士の中心を正確に一致させるための精密な調整ができるからです。

モーターや駆動装置のボルトを緩め、脚の下の隙間にシムを差し込みます。

この際、モーターの運転による発熱や、ポンプに熱い流体を流す場合など、稼働時に熱が発生する環境では熱膨張を考慮する必要があります。稼働時の熱による高さの変化も加味して、シムの厚みや挿入位置を調整してください。

稼働時の状態も想定しながら、慎重にシムを挿入し微調整を行います。

熱膨張における調整の目安

引用元:MONO塾|カップリングのミスアライメント許容値の考え方(https://d-monoweb.com/blog/coupling-misalignment/

仮締め

シムを挿入した後は、いきなり強く締め付けず、アンカーボルトを仮締めします。

初めから本締めを行うと、締める力によってせっかく調整したシムやモーターが動き、再び芯がずれてしまう可能性があるからです。

シムがずれないように注意しながらボルトを軽く締めます。

仮締めの状態で再度ダイヤルゲージ等で測定を行い、平行ズレや角度ズレが規定の許容値(一般的には0.05〜0.1mm以内※)に収まっているかを必ず確認してください。必要であれば、シムの枚数や厚みを再度微調整します。

本締めの前に仮締めの状態で精度を確認することが、確実な作業への近道です。

引用元:永和工業株式会社|モーターとカップリング芯出し教育(https://eiwa-kk.com/post-833/

本締め

ズレが許容値内に収まっていることを確認できたら、本締めを行います。

機械の運転中に発生する振動や負荷に耐えられるよう、モーターを強固に固定するためです。

仮締めから本締めへ移行する際にズレが再発することがよくあるため、本締めを行いながら芯がずれないかを何度も測定し、チェックするようにしてください。

また、ボルトの締め付けはメーカー指定の締め付けトルクを守り、均等に締めることが重要です。適正なトルク管理のために、必ずトルクレンチを使用して規定の力で締め付けてください。

ズレの再発に注意しながら、規定の力で確実に締め付けることが求められます。

最終確認

本締め完了後、最後に全体の調整結果を確認し、試運転を実施します。

静止状態での測定値が正しくても、実際の稼働時に振動や異常が発生しないかを確認しなければ、作業完了とは言えないためです。

最終的な測定を行い、芯出しが正確に行われた数値を記録して保存します。この記録は将来の振動解析や定期点検時に役立ちます。

その後、モーターに電源を入れ、低速回転から徐々に回転数を上げて試運転を実施します。異常な振動、騒音、発熱がないかを注意深く観察してください。

試運転で問題がないことを確認して、はじめてシムを用いた芯出し作業が完了となります。

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