シム加工で行われることがあるのが、細穴放電加工です。ここでは細穴放電加工の特徴やメリット・デメリット、実際の加工事例などを紹介します。
まず放電加工とは、電気エネルギーを活用して金属を加工する方法をいいます。水や油といった加工液の中で加工対象の金属と放電加工機の間に電気を流すことによって発生する熱の力を使って金属を溶かすのが特徴です。
溶かされた金属片は、液体内に飛散します。
細穴放電加工とは、この放電加工の技術を用いて行う細穴加工です。機械本体にφ0.02~3.0mm程度のパイプ電極を取り付けて放電加工します。
切削加工では難しいような小径・深穴加工ができるのも特徴です。
細穴放電加工が向いているか判断するためには、メリットを把握しておくと良いでしょう。以下のようなメリットがあります。
細穴放電加工では、製品の質を大きく左右するバリがほとんど発生しません。そのため、バリができると困るような製品を加工するための方法としても向いているでしょう。
特にドリル加工と比較した場合にバリが少ないので、ドリル加工によるバリの大きさに悩んでいるような場合にも適しています。バリ取りの手間もほぼかかりません。
ドリル加工と比較すると加工しやすいのもメリットです。ドリル加工の場合、曲面や傾斜面を加工する際にドリルが曲がってしまうと安定的な加工が行えません。
一方で細穴放電加工は、あらかじめプログラミングされている加工を非接触で行えることから、容易に加工できるメリットがあります。
細穴放電加工は、加工機から対象物への放電により加工するため、対象物に加工機が直接触れることはありません。そのため、対象物に対して大きな負荷をかけずに加工できます。
とても便利な細穴放電加工ですが、デメリットもあります。以下のデメリットを把握しておきましょう。
細穴放電加工で深く金属を溶かすためには、何度も放電を繰り返さなければなりません。この作業に時間がかかります。
できるだけ短期間・短時間で量産したい製品を作る際の加工には向かないでしょう。
放電による熱の力で金属を溶かす加工法なので、通電性のない素材は加工できません。
基本的に金属は通電性を持ちますが、ステンレスなどはそれほど通電性が高くないため加工が難しくなることもあります。
加工内容によっては放電加工機側の電極が熱で溶けることがあります。消耗が激しくなった場合は加工に悪影響を与えてしまうため、交換しなければなりません。
細穴放電加工で仕上げたステンレス精密加工品の事例です。被削性と耐焼付性に優れているほか、マシニングによる高精度ドリル加工にも対応しています。
ニッケルを細穴放電加工した事例です。ニッケルは熱伝導率が悪く切削加工が難しいことから、ドリルの選定や振れ、回転数などを考慮して加工しました。
対応できる素材数で選んだシム加工業者
おすすめ3選
●極限までバリを抑えた「バリレス精密プレス」で高精度のシム加工品を製造。多様な素材・多品種少量のニーズにも柔軟に対応ができる。
●試作開発において工程能力を測定し、量産時の精度やコストに適した設計を提案。効率的で高品質な量産体制を実現できる。
●材料入手からプレス~検査までを自社で一貫して行い、精密部品の加工製造を実施。
●洗浄・研磨・乾燥を1工程で行い、コスト削減と効率化を実現。厚さ6ミクロン単位で特殊用途シムの製作にも対応できる。
●常時在庫を持ち、スタンダードなシム加工品であれば1個から当日発送が可能。
●FA部品メーカーとしての技術を活かし、産業機械や光学機械のほか、航空・宇宙産業にも納入実績がある。
※2021年4月15日時点でGoogleにて「シム加工」と検索した際に表示される上位25社のうち、公式サイトに品質マネジメントシステムに関する国際規格であるISO9001取得と対応ロット(個数)の記載がある3社を厳選し、加工できる素材が多い順に会社を紹介しています。