なるシム なるほどシム加工読本 » シムはどのように使われる?各調整方法まとめ » バックラッシュ調整

バックラッシュ調整

歯車の噛み合いのわずかな隙間を「バックラッシュ」と呼びます。この隙間は、スムーズな動作や摩耗防止のために必要なものですが、大きすぎると振動や精度低下を招きます。この記事では、バックラッシュの基礎から調整方法までを詳しく解説します。

バックラッシュとは

バックラッシュとは、潤滑や熱膨張を考慮して機械装置の設計段階で意図的に設けられていて、完全にゼロにはできません。適切な量であれば動作が滑らかになり、摩耗や焼き付きの防止につながります。しかし、過度に大きいと回転方向の切り替え時に衝撃が生じ、精度低下や異音の原因となるので、適切に管理することが必要です。

バックラッシュが大きい場合の問題点

バックラッシュが大きいと、機械が回転方向を切り替える際に空転時間が生じ、応答遅れや位置ずれが発生します。特にNC機械やロボットなど、高精度制御を要する分野では致命的な誤差を引き起こすことがあります。また、ギアの歯面同士が繰り返し衝突するので、騒音や摩耗の進行も早まります。さらに、制御性の低下はエネルギー損失にもつながり、装置全体の寿命を縮める要因となります。

バックラッシュは無いほうがいい?

バックラッシュを完全にゼロにするのは一見理想的に思えますが、実際には、熱膨張や組立誤差で歯面同士が干渉し、異常摩耗や焼き付きなどの不具合の原因になります。したがって、適度なバックラッシュを確保することが重要です。特に高速回転や高負荷のギアでは、適正値を確保することで長期的な耐久性と滑らかな伝達性能が維持されます。JIS規格でも用途に応じた許容範囲が定められており、機械装置の設計段階で、必要精度、製造誤差、寿命、コストなどを考慮して決定されています。

バックラッシュ調整の必要性

機械装置の精度維持や長期稼働のためには、適切なバックラッシュ調整が必要です。歯車の摩耗や取り付け誤差によって隙間が変化すると、動作精度の低下や異音、さらには破損につながる恐れがあります。調整によって最適な隙間を保てば、ギア同士の噛み合いが安定し、振動の抑制や機械寿命の延長にも寄与します。調整に加え、定期的な点検と保守を行うことで、製造ラインや精密機械が安定稼働できるようになります。

バックラッシュ調整の方法

歯の小さい歯車に変える

ピッチの小さい歯車へ変更することで、噛み合い精度を高め、バックラッシュを低減することが可能です。歯数が多くなることで歯面接触が細かくなり、遊びが減ります。精密機器や自動化設備など、わずかな誤差も許されない用途に適しています。

中心距離の調整

歯車間の中心距離をわずかに詰めることでバックラッシュを調整できます。ただし、過度に詰めると摩擦増大や焼き付きの原因となるため、規定値内での調整が原則です。

歯車を分割する

スプリットギア(分割歯車)は、2枚の歯車をわずかに回転ずらして取り付け、スプリング力で常に歯面を密着させる構造です。この方式は、バックラッシュをより小さくすることができ、動作がスムーズになります。調整ナットでトルクを微調整することで、組立時に最適な噛み合いを得ることができます。

組立距離の調整

ハウジングや軸受の取り付け位置を微調整することで、実際の組立距離を変え、バックラッシュを補正できます。シムプレートやスペーサーを利用すれば、分解せずに再現性高く調整できます。

バックラッシュを考慮した歯車の選定ポイント

歯車選定時には、材質・精度・取り付け方式などを総合的に検討し、用途に最適なバックラッシュ量を確保する必要があります。例えば、高速回転では熱変形を考慮した余裕を設け、低速・高トルク用途では最小限に近づけます。また、潤滑状態や使用環境によっても適正値は変動するので、JISやメーカー推奨値を基準に設定することが望まれます。

バックラッシュのJIS規格について

JISでは、歯車の等級や用途に応じて許容バックラッシュ値が明示されています。一般的には0.02~0.3mm程度が目安とされ、精密機械用ほど厳しい管理が求められます。設計段階で規格値を参照することが重要です。

対応できる素材数で選んだシム加工業者
おすすめ
3

豊富な素材から
適したシムを提案
飯島精機

引用元:特注シム製造センター.com(https://www.shim-manufacturing-center.com/)

●極限までバリを抑えた「バリレス精密プレス」で高精度のシム加工品を製造。多様な素材・多品種少量のニーズにも柔軟に対応ができる。

●試作開発において工程能力を測定し、量産時の精度やコストに適した設計を提案。効率的で高品質な量産体制を実現できる。

対応できる素材
対応できる素材

公式サイトで
シムについて相談する

飯島精機の
シム加工を見る

ミクロン台の
高精度シムに対応
名古屋発條工業

引用元:名古屋発條工業(https://meihatsu.co.jp/products/)

●材料入手からプレス~検査までを自社で一貫して行い、精密部品の加工製造を実施。

●洗浄・研磨・乾燥を1工程で行い、コスト削減と効率化を実現。厚さ6ミクロン単位で特殊用途シムの製作にも対応できる。

対応できる素材
対応できる素材

公式サイトで
シムについて相談する

名古屋発條工業の
シム加工を見る

適切なシムを
既製品から選べる
岩田製作所

引用元:岩田製作所(https://www.iwata-fa.jp/html/option/sm28.html)

●常時在庫を持ち、スタンダードなシム加工品であれば1個から当日発送が可能。

●FA部品メーカーとしての技術を活かし、産業機械や光学機械のほか、航空・宇宙産業にも納入実績がある。

対応できる素材
対応できる素材

公式サイトで
シムについて相談する

岩田製作所の
シム加工を見る

※2021年4月15日時点でGoogleにて「シム加工」と検索した際に表示される上位25社のうち、公式サイトに品質マネジメントシステムに関する国際規格であるISO9001取得と対応ロット(個数)の記載がある3社を厳選し、加工できる素材が多い順に会社を紹介しています。