シム加工品を必要とする組み立てや調整において、標準規格で完結することは多くありません。
顧客によって必要とする形状や素材が異なる場合について、具体的な事例として特注シム加工品を紹介します。
ステンレス製の特注シムで、シム内の穴と外周部をワンカットで製作。
材料が0.1mmと薄い部品のため、上下を厚さのある鉄材で挟む込み、加工液噴射時のブレをなくして仕上げています。
また、シム内の小径穴は中央部から徐々に円の半径を広げて削り進める、コアレスという加工が特徴です。
ステンレス製のシム加工品で、周りが八角形の形状をしています。
中心に大きな円形状の穴を開け、八角形の頂点付近にもそれぞれ穴を開けた動力伝動装置用の特注シムです。
顧客持ち込みの図面に合わせてワイヤー放電加工機にプログラムを設定。
ステンレス素材を複数枚重ねてから、ワイヤーカットを行っています。
材質にSUS304を用いた半導体製造装置用のコーナーR付き四角シムです。ワイヤーカットによる切り出しですが、穴部はプレス加工による面押し加工、さらに外周部にはコーナーRが施されています。
単なる四角の板ではなく、直角三角形と台形を合わせたような独特の形状が印象的です。サイズは5×10×0.8mm、公差は±0.02mmとなっています。
車両部品として用いられるヒーター端子ラミネートです。実際に使用される部品の拡大模型試作品として製作されました。
加工のポイントは、複数枚重ねたブランク材を厚めの鉄材で挟み込むという手法。これにより、加工液噴射における加工中のブレが低減し、内周・外周はそれぞれワンカットで高精度な加工を実現しています。
部品サイズはサイズは30×100×0.1~0.8mm、公差は±0.02mm。
FA装置向けに使用される爪クランプ部品用の四角シムです。材質はオーステナイト系ステンレス鋼の代表格、SUS304が用いられています。
加工のポイントは、加工液噴射時のブレを抑えての高精度なワンカットによる加工と仕上げ。複数枚重ねたブランク材を厚めの鉄材で挟みこむことにより、加工噴射時のブレを低減しています。
クランプ中形状、スリットを含む外周部はいずれもワンカット加工です。
精密プレス加工で仕上げた、半導体製造装置用の正方形シムです。材質はSUS304。サイズは90×90×0.05mm。公差は±0.05mm。
加工のポイントは、超微細な領域における精密なプレス加工。90×90mmの中に144個の円(φ3.6)を5.5mmピッチ(±0.03)毎に形成したほか、各円の中には1.5mm(±0.025)のスリットが3か所に施してあります。
ワイヤーカット加工により仕上げた金型用の四角シムです。厚さの異なるシムが欲しいというオーダーがあり、それに対応するため、厚さの異なる7種類のシムを2つずつ(2×7=14個)重ねてワイヤーカットしています。
シムの中央部分に施された穴加工、外周頂点部を斜めにカットした独特の形状が印象的です。材質はオーステナイト系ステンレス鋼のSUS304を使用しています。
材質にSUS304を使用したFA装置用のスクレーパー部品です。中央2つの穴部と外周はワイヤーカットにて加工しています。
クライアントのオーダー(図面)に基づき、1回目に取り代(オフセット)を残した粗加工、2回目に同条件で仕上げ加工を行うという、2回に分けて行った加工が特徴です。
オーダー通り、高精度なワイヤーカット加工を実現しています。
スリットを含めて全周をワイヤーカット加工で製作した、半導体製造装置用の長尺四角シムです。材料は肉薄でかつ長方形の形状だったため、加工液噴射時にワークがブレが起きる可能性がありました。これに対応すべく、シムの上下を厚さのある鉄材で挟み込むことで噴射時のブレをなくし、高精度なシム加工を実現しました。
見るからにシム板然とした、シンプルな形状の半導体製造装置用の正方形シムです。シム内の2つの穴部と外周部はワイヤーカット加工によりワンカットで製作しています。
材料は0.2mmの薄板。加工液噴射時にブレが発生するリスクが想定されたため、シム板の上下を厚さのある鉄材で挟み込むことで、ブレをなくし加工精度を高めています。
均一な多角形の形状が印象深い、動力電動装置用の大型八角形シムです。円を囲むようにシム内には8個の穴、中心にも大きな穴があります。
この内、高い加工精度を必要とした中心の大きい穴に対しては、複数枚重ねたブランク材を集めの鉄材で挟み込むことにより、加工時のブレを減らし、加工精度を確保しました。
それぞれの穴も4回に分けてワイヤーカットしています。
りん青銅の素材をプレス加工で打ち抜いて、製作した動力伝動装置用の特注シムです。
厚みの要求精度が±0.01mmの上、さらに表面と裏面の平面度は±0.02mmというオーダーでした。
さまざまな用途に活用することができる丸い形状のシム加工品です。
厚さが0.01mmのステンレス材を複数枚重ね、まとめてワイヤーカットを行い製作している特注シムです。
動力伝達装置業界の顧客向けに製作されたものですが、オーダーに合わせて厚さが異なるシムを同時に複数種類作成することにより、コストダウンも実現します。
金型用の特注シムで、上下に円形状の穴加工を施してから外周部は顧客のオーダーに合わせた複雑形状に加工しています。
7つの厚さが異なるシムですが、それぞれの厚さのシムを2つずつ、合計14個のシムを重ねてからワイヤーカット。
異なる厚さのシムをオーダーだったため、7つの厚さのシムを同時に製造しています。
動力電動装置向けの特注丸シム。真鍮素材(C2801)をワイヤーカットして加工したシムになります。
多くの丸穴加工が施されたシムですが、精度の高い加工に仕上げるため、ワイヤーカットによる加工条件に工夫を凝らしています。
サイズはφ220×130×0.8mm、公差は±0.05となります。
動力伝動装置向けの特注四角シムセット。真鍮素材(C2801)を複数枚重ね、ワイヤーカットで加工したシムになります。
ニーズがあれば、同じ形状にして板厚の異なるシムを同時に卸すことも可能。製造コスト削減から、メーカーにもユーザーにもメリットが生まれます。
サイズは150×30×0.3mmと80×25×0.5mm、公差は±0.05。対応できる板厚は、0.1mm、0.3mm、0.5mm、0.8mm、1mm、2.5mm、3mm、5mmの8種類。
動力伝動装置用の特注丸シム(スペーサ)。タフピッチ銅素材(C1100)をワイヤーカットで加工したシムになります。
サイズはφ50×φ30×1mm、公差は±0.05となります。
材質にA1050(純アルミ)を使用した、動力電動装置向けの特注丸シム・スペーサ。高純度なアルミニウムの特性(酸化しやすい)を考慮しながら、素材をワイヤーカットにて加工しています。
サイズはφ80×φ50×0.5mm、公差は±0.05。外周の円、シム内の小さな円、中央の大きい円と3つの円が同居する“円尽くし”の形状が特徴です。
サビにくくて加工しやすい熱間圧延鋼板、SPHC製の機械装置向け特注シム(スペーサ)です。
見積りの結果、ワイヤー加工や金型による加工では価格が高価になるため、レーザー加工による加工を行いました。
一方、入手が難しい板厚3.80t±0.05の材料に対しては、両面研磨を施すことで規格をクリア。サビ防止に亜鉛メッキ処理もしています。
FA・動力電動装置向けのSPHC製特注シム(スペーサ)。見積もりの結果を踏まえ、ワイヤー加工や金型ではなく、コストを抑えられるレーザー加工にて製作しました。
サイズはφ70×φ60×4mm、公差は±0.1。歪みやトリッキーさ排したシンプルな円形の特注シムリングです。
1000系のアルミニウム合金、A1100製の動力電動装置向け大型丸シムです。
ワイヤーカットによる加工ですが、アルミ製品に対するワイヤーカット加工の場合、途中でワイヤーが断線してしまうリスクがあるため、加工条件を落として加工するなどの工夫を行い、断線防止に努めています。
サイズはφ120×0.1mm、公差は±0.02mm。果物を輪切りにしたような、計14つの穴加工を施した形状が特徴的です。
ステンレス製の特注シムで、シム内の穴と外周部をワンカットで製作。
SUS304製のFA装置用丸シムです。ワイヤーカットにて公差がある穴と外周部に加工を施しています。
加工液噴射時のブレに対しては、複数枚重ねたブランク材を厚めの鉄材で挟み込むことで低減し、穴部の加工は、2分割して4回に分けてカットすることで精度を確保しています。
サイズはφ15×0.1mm、公差は±0.02mmです。
SUS304製のFA装置向け部品、ウェーブワッシャーの特注丸シム。内周と外周をワンカットで加工したほか、納入先ではプレス曲げ加工を実施して、最終的に波形状に仕上げました。
加工液噴射における加工中のブレに対しては、複数枚重ねたブランク材を集めの鉄材で挟み込む手法により対応し、要求仕様通りの仕上がり精度を実現しています。
SUS304製のFA装置向け板バネ(25×35×0.8mm)部品になります。ワイヤーカット加工にて6つの高精度穴加工を施しています。
穴加工では、Φ1.0、Φ1.7の高精度穴をΦ0.5の下穴で加工していますが、この際、下穴を残さずΦ0.5の下穴でΦ1.0の穴を加工するのは、ワイヤーカット加工のノウハウが必要です。外周部は穴加工の後、ワンカットで製作。
ワイヤーカット加工をしたステンレス鋼(SUS304)のFA装置向け板バネ(10×20×0.6mm)部品になります。ワイヤーカットによりブランク材を製作し、その後で簡易型で曲げ加工を行うという工程です。
サイズは10×20×0.6mm、公差は±0.1mm。金型の型費が安く、低コスト&短納期に対応することができます。
SUS304製、FA装置向けの板バネ(20×40×0.6mm)になります。ブランク材をワイヤーカットで加工し製作した後、簡易金型による曲げ加工を行い仕上げています。
このような板バネ製品の場合、金型の費用が安く、かつ短納期を実現することができます。費用的にも納期的にも調達しやすい製品です。
バリの発生を極限まで抑えた「バリレス精密プレス」によってさまざまなプレス部品の製作・販売を行っています。
鉄やステンレスといった素材に留まらず、アルファモス製品から特殊な合金までさまざまな材料も調達が可能で、特注シムの試作や加工から量産まで幅広く対応。
多品種少量生産やコストダウンの要望にも、しっかりと応えることができます。