ワイヤーカット加工とは、ワイヤー線に電流を流して切断していく加工方法です。このページでは、ワイヤーカット加工の種類やメリット・デメリットなどを紹介していきます。
ワイヤーカット加工は、ワイヤー線に電流を流して金属などの対象物を切断していく方法です。加工槽と呼ばれる専用の槽に純水を入れ、その中に素材を入れて加工をかけていきます。
ワイヤーに流れた電流が、対象物とのあいだに「アーク放電」を発生させ、放電爆発を繰り返すと熱が発生し、対象物を溶かしながら切断していきます。導電性のある金属であれば、どんなに硬いものでも切断が可能です。
真ちゅうなどの素材でできたワイヤー線は0.2mmほどの細さで、放電爆発を行う際の温度は6,000度以上の高温となります。加工槽には冷却装置が備わっており、温度は一定に保たれています。
レーザーカットが0.05mmの加工精度であるのに対し、ワイヤーカットは0.005mmと非常に精度が高いことが特徴です。
ワイヤーカット加工のメリットについてみていきましょう。
導電性のある素材であれば、対象物の厚みや硬さに関係なく切り進むことができます。レーザーカットよりも加工の精度が高く、研削と同等の精度が期待できます。
ワイヤーカット加工は素材と接触しないため、素材そのものに摩擦などを発生させず、負荷が少なく抑えられます。使用する真ちゅう製のワイヤーは消耗品ですが安価なため、コストの削減にも役立ちます。
ワイヤーカット加工のデメリットについてもみていきましょう。
ワイヤーカット加工は素材を少しずつ溶かして切り進めていくため、加工速度が遅い点がデメリットです。スピードを重視し、大量に生産したいものには不向きといえます。
ワイヤーに電流を流して素材を溶かすため、対象物が非導電性であると通電せず、切断することができません。レーザーカットは金属以外の木材や樹脂などにも対応していますが、ワイヤーカットは非対応となります。
ワイヤーカット加工は高さや厚みの調整に使われるシムにも適応できます。
株式会社山内スプリング製作所では、産業機械業界の機械組付け時の高さ調整に使われるシムプレートについて、5日の納期で50個を生産しました。板厚は0.01t*24φであり、ワイヤーカット加工によって加工を行っています(※1)。
こだま製作所ではシム20枚について、材料の重ね斬りをワイヤーカット加工で行いました。費用対効果を高めるためにまとめて一度にカットができる専用治具を標準装備し、形状カットを施すことで低価格化を実現し、同材質であれば同一精度での製作が可能です(※2)。
対応できる素材数で選んだシム加工業者
おすすめ3選
●極限までバリを抑えた「バリレス精密プレス」で高精度のシム加工品を製造。多様な素材・多品種少量のニーズにも柔軟に対応ができる。
●試作開発において工程能力を測定し、量産時の精度やコストに適した設計を提案。効率的で高品質な量産体制を実現できる。
●材料入手からプレス~検査までを自社で一貫して行い、精密部品の加工製造を実施。
●洗浄・研磨・乾燥を1工程で行い、コスト削減と効率化を実現。厚さ6ミクロン単位で特殊用途シムの製作にも対応できる。
●常時在庫を持ち、スタンダードなシム加工品であれば1個から当日発送が可能。
●FA部品メーカーとしての技術を活かし、産業機械や光学機械のほか、航空・宇宙産業にも納入実績がある。
※2021年4月15日時点でGoogleにて「シム加工」と検索した際に表示される上位25社のうち、公式サイトに品質マネジメントシステムに関する国際規格であるISO9001取得と対応ロット(個数)の記載がある3社を厳選し、加工できる素材が多い順に会社を紹介しています。