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芯出し

芯出し作業におけるシム調整の重要性や、正確に行うためのポイント・注意点を具体例を交えて詳しく解説します。

機械や生産設備における「芯出し」とは?

芯出しとは、工作機械や生産設備の搬送装置などを組み付ける際、連結部分を水平・垂直・直線状に位置調整して、装置の中心位置を正確に決める作業です。モーターやポンプなど回転機器間での接続では、運転中に回転軸が一直線に並ぶように整える「軸芯出し」が重要です。

作業には水平器、ダイヤルゲージ、レーザー測定器などを用い、現状測定→修正計算→許容範囲内になるまで繰り返します。精度が不足すると振動や異常温度、エネルギーロス、ベアリング摩耗など、機械の信頼性や寿命に悪影響が出ます。

芯出しを行う手順

芯出しとは、機械装置の中心軸を正確にそろえるための高難度な調整作業です。

工程は大きく3つに分かれ、はじめに現状のズレを測定します。続いて、その数値をもとに必要な修正量を算出し、許容範囲に入るまで測定と調整を繰り返します。

作業には水平器やダイヤルゲージ、レーザー測定器などの精密機器を使用します。機器の操作スキルや、数値を正確に読み取る力や細やかな調整力も必要です。

芯出しの精度は機械の性能や寿命に直結するので、熟練の技術が求められる作業です。

芯出しを行う際のポイント

高精度が求められる「芯ずれ」と「面開き」の測定

芯出しでは、ポンプとモーターの回転中心線を一直線に保つため、「芯ずれ」と「面開き」を0.01mm単位で測定する必要があります。芯ずれとは中心線の高さや左右のズレ、面開きとはカップリングのすき間の差を指します。

どちらも許容値は一般に0.05mmとされ、これを超えると振動や部品の劣化を招く可能性があります。

ダイヤルゲージとレーザー測定器の特性を理解

芯出し作業では、金属製定規では精度が足りないため、ダイヤルゲージやレーザー測定器が用いられます。特にレーザー測定は、距離の影響を受けにくく、より高精度に測定できます。

対してダイヤルゲージは、測定距離が長いとバーがたわむ「ダレ」により誤差が生じやすくなります。目的や環境に応じて使い分けます。

芯ずれと面開きから修正量を割り出す

測定によってズレが判明したら、カップリングの径や各脚の位置関係に応じて、前脚・後脚それぞれの修正量を計算します。

たとえば、面開きがある場合は、単純な平行移動では補正できません。ここで必要なのは軸の傾きに応じた前後の脚ごとの微調整です。カップリングからの距離に比例して修正量を算出することが基本です。

図を用いた修正方向の可視化が重要

芯ずれや面開きの数値を正確に把握した後は、実際に紙上で軸心やカップリングの状態を図示してみると、修正の方向性が明確になります。

縮尺を工夫しながら線を引くことで、視覚的にモーターの「尻下がり」などの状態を確認します。この段階でのイメージ化が誤った調整を避け、効率よく芯出し作業を進める助けとなります。

前脚・後脚それぞれの修正量を精密に計算

修正量は、面開きによる軸の傾きと芯ずれの補正を組み合わせて計算します。

たとえば、カップリング径が200mmで面開きが0.09mm、芯ずれが0.07mmの場合、前脚は0.02mm、後脚は0.20mmの高さ調整が必要です。単純な引き算ではなく、距離と角度の関係をもとにした正確な計算が不可欠です。

芯出しにおけるシムの役割は?

芯出し作業では、モーターやポンプなどの回転軸を正確に一致させることで、振動や騒音を抑えて機械の安定稼働へとつなげます。この微調整に欠かせないのが「シム」です。

シムプレートを使えば、わずかな高低差にも対応できるので、モーターやポンプ、ファンなどの芯ずれを効率的に修正できます。機器の性能維持や故障リスクの低減にも寄与します。

シム使用時の注意点・ポイント

古いシムと罫書き線に頼る芯出しは危険

芯出し作業の現場では、以前使っていたシムを再利用し、脚部の罫書き線に合わせて元の位置へ戻す方法で行われることがあります。

しかし、真ちゅう製のシムは一度使うと厚みに変化が生じるため、正確な調整ができません。また、罫書き線を目測で合わせても、高精度な芯出しができる保証はありません。

これら作業の簡便化は、後の故障リスクを高める原因となるため避けるべきです。

薄いシムを重ねすぎると精度低下の原因に

芯出しの微調整で、つい薄いシムを何枚も重ねてしまうケースがありますが、これには注意が必要です。シムが多層になるほど、積み重ねた面が柔らかくなり、ボルトで締めても機械がしっかり安定しないからです。たとえるならば、柔らかい座布団に機械を載せて固定するようなものです。

調整精度を高めるには、極力シムの枚数を3~4枚以内に抑え、厚みのあるシムを選ぶことが大切です。

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飯島精機

引用元:特注シム製造センター.com(https://www.shim-manufacturing-center.com/)

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●常時在庫を持ち、スタンダードなシム加工品であれば1個から当日発送が可能。

●FA部品メーカーとしての技術を活かし、産業機械や光学機械のほか、航空・宇宙産業にも納入実績がある。

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