軽くて柔らかく、加工しやすい素材であるアルミニウムについて、素材としての特徴やシム加工の例を紹介します。
アルミニウムは鉄の約3分の1の比重であり、純アルミニウムの強度は高くありません。
しかし、亜鉛やマグネシウムなどを添加する合金にすれば強度が増し、軽量化が求められる自動車などの生活に欠かせないものにも使用可能です。
アルミニウムは大気中で酸素と結合することにより、不働態の酸化皮膜を形成。
この酸化皮膜は、酸素と水分を遮断するため、優れた耐食性をもたらします。
ただし、何らかの影響によりこの酸化皮膜が失われた場合には腐食が始まります。
汎用性が高く、広く普及しているアルミニウムですが、安価に手に入れることが可能です。
過去には金よりも高価な時期もあった素材ですが、加工がしやすいことから、さまざまなものに使われています。
飯島精機の大型丸シムは、動力伝動装置向けのシム製品。
複数重ねたブランク材を厚めの鉄材で挟み込むことにより、加工液噴射による加工中のブレを低減しながら加工しています。
岩田製作所のラミネートシムは、アルミニウムのシム加工にも対応。
0.05mmの板を接着剤で貼り合わせたラミネートタイプのシム製品で、カッターなどで剥離することにより0.05mm単位での板厚調整が可能です。
平井精密工業は、アルミニウムへのフォトエッチング加工も行っています。
軽くて強い、かつ耐食性も高く加工性がよい素材で、磁性がなく電気をよく通す便利な素材を活用したシム製品です。
私達のごく身近に存在するアルミニウムは、さまざまな場面と用途で活用されています。アルミニウムはそれだけ利便性に優れた金属と言って良いでしょう。具体的にはどんな性質がある金属なのか紹介します。
アルミニウムの特徴として、まず「軽さ」が挙げられます。アルミニウムは鋼材の約3分の1ほどの比重で、そのため輸送機や建物、さらにはスマートフォンなど、軽さを求められる場面で採用されています。
アルミニウムそのものの強度はさほど高くないものの、そこにほかの金属を加えて合金にすることで強度を高められます。中でも7000系の「超々ジュラルミン」はその軽さと高い強度から航空機の部品などに用いられています。
アルミニウムは酸素と反応した際、表面に「酸化皮膜」を形成するという特性がある材質です。酸化皮膜で覆われることで錆びを防ぐことから、海水などにふれる船舶の材料としても広く用いられています。
液体窒素や液体酸素といった超低温にも耐性があり、しかも強度が下がるどころか高まるという大きなメリットを持ち、宇宙開発にも一役買っている素材です。
アルミニウムは鉄の3倍の熱伝導率を持っています。この熱を伝えやすいという特質から、自動車のラジエータやパソコンなどの放熱器としても活躍しています。
熱だけでなく、電気も通しやすいのがアルミニウムの特徴です。軽く、銅の2倍の電流を通すことから、送電線も銅からアルミに替わる傾向が見られます。
アルミニウムは磁石にくっつかない非磁性体の物質です。磁場に影響されないことから医療機器などにも広く活用されています。また、金・銀・銅などの非磁性体より低価格であることも利点です。
アルミニウムは生鮮食品や加工食品、食品添加物にも含有される物質で、厚生労働省の調査結果から「一生摂取し続けても健康への悪影響がない量は1週間あたり2mg/体重1kg」と設定されています。
赤外線・紫外線・電磁波などをアルミニウムは反射します。この反射率は鏡面加工をほどこしたり、アルミの純度が高いほどさらに増します。
アルミは加工しやすく、デザイン性にも優れているほか、金属そのものが美しいという魅力を持っています。着色も可能であることから、建築や包装などさまざまな分野で活用されています。
アルミは経年劣化しにくく、融点も低いことから再生しやすく、リサイクルに適した金属です。しかも、リサイクル後の品質もリサイクル前とほぼ変わらないというメリットを持っています。
アルミニウムは加工性に非常に優れています。そもそもアルミは融点が低く、切削加工しやすく、溶接も可能です。
アルミ箔のようにごく薄く伸ばすことも、複雑な形状を作ることも容易に行えます。精密加工にも向いており、さまざまな用途に使用できるのが利点です。
アルミニウムは単体のみではなく、複数の金属と混ぜ合わせた合金の状態で用いられることがほどんどです。種類ごとに1000系から7000系まで番号がつけられ、それぞれの合金によって加工性や耐食性、強度などの特徴には違いが見られます。
1000系は「純アルミニウム」のことで、アルミニウム99.9%以上のものを指します。
純度が高いことから熱伝導率や電気伝導率が高く、加工性にも耐食性にも優れています。
ただし、アルミニウムは純度が高くなればなるほど強度が弱まります。
2000系は銅を含ませて強度を高めています。しかし、その分、耐食性は落ちているため、場合によっては防食処理が必要になることも。
2000系のA2017は高い強度を誇るジュラルミン、A2024は超ジュラルミンとして知られています。
マグネシウムを添加した最もメジャーなアルミニウム合金です。用途は幅広く、マグネシウムの含有量が多くなるほど強度が上がります。
アルミニウムにマグネシウムとシリコンを添加した合金です。
強度と耐食性に優れ、特に押し出し加工しやすいと言われています。
アルミニウム合金の中では最も高い強度を誇っています。A7075は強度・加工性に優れ、超々ジュラルミンと呼ばれていますが材料は高額です。
アルミニウムは1000番系の純アルミから7000番系の高い強度を誇るアルミ合金まで、豊富な種類があります。
そのためアルミニウムを素材として選ぶときには、特性をよく踏まえて、適したものを選ぶことが重要です。
強度・耐食性・溶接、そして見栄えに優れたものなど、まずは用途をしっかりと定め、その上でアルミニウムを選んでみてください。
対応できる素材数で選んだシム加工業者
おすすめ3選
引用元:特注シム製造センター.com(https://www.shim-manufacturing-center.com/)
●極限までバリを抑えた「バリレス精密プレス」で高精度のシム加工品を製造。多様な素材・多品種少量のニーズにも柔軟に対応ができる。
●試作開発において工程能力を測定し、量産時の精度やコストに適した設計を提案。効率的で高品質な量産体制を実現できる。
引用元:名古屋発條工業(https://meihatsu.co.jp/products/)
●材料入手からプレス~検査までを自社で一貫して行い、精密部品の加工製造を実施。
●洗浄・研磨・乾燥を1工程で行い、コスト削減と効率化を実現。厚さ6ミクロン単位で特殊用途シムの製作にも対応できる。
引用元:岩田製作所(https://www.iwata-fa.jp/html/option/sm28.html)
●常時在庫を持ち、スタンダードなシム加工品であれば1個から当日発送が可能。
●FA部品メーカーとしての技術を活かし、産業機械や光学機械のほか、航空・宇宙産業にも納入実績がある。
※2021年4月15日時点でGoogleにて「シム加工」と検索した際に表示される上位25社のうち、公式サイトに品質マネジメントシステムに関する国際規格であるISO9001取得と対応ロット(個数)の記載がある3社を厳選し、加工できる素材が多い順に会社を紹介しています。